カルティエ・ディナー会場 いけばな装飾
最近バタバタといろんなお仕事が続いております。先日やらせて頂いたのは、料亭での装花のお仕事。こちらです。
場所は、芝公園、東京タワーのふもとというか、足元にある予約が取れない店で有名な「とうふ屋うかい」亭。
お仕事を頂いたのは、ロンドンのエージェントからでした。
なぜなら、主催者はあのジュエリーで有名なカルティエのロンドン支部で、欧州より最上級のカスタマーが日本にいらっしゃるということで、その一夜の宴のために、ぜひ花をいけてほしいとのリクエストでした。
その一夜のためだけに、京都から芸者、舞妓も呼ばれているとのこと。カルティエのとても重要なお客さまということで、打ち合わせも緊張感が溢れるものでした。
イギリス人の方と英語で真剣にビジネスミーティングをするのは初めてで、ちょっと緊張はするものの、打ち合わせをしながら、「プラダを着た悪魔みたい!」と興奮している自分もいて、とても楽しかったです。
床の間は2つあり、まずひとつがこちら。カルティエを私なりにイメージしたもの。
2つめがこちら。いらっしゃるゲストの方は全員ヨーロッパの方ということなので、できるだけあちらのフラワーアレンジにはないオリジナルなものをいけようと思いました。見て頂いたときに驚きのようなものも与えたかったので、葉を主役にした作品を。右のモンステラという葉を形をかえて左側に不思議な塊を作っています。
そう、メインのいけばなはこちらです。流木をたくさん組んで、自然のおおらかさ、奥深さを表現してみました。
打ち合わせのときに、「あなたを呼んだんだから、呼んだ意味のあることをやってね」と言われ(仕事ですから、びしっと言われます。英語なので、まあ訳すとこんな感じ)、つまり普通に綺麗なだけでは、だめなようだったので、ゲストの方が来たときに何か圧倒されるようなものを、と考えました。
卓上はかえって花を入れず、シンプルに。「シンプル」というのも、オーダーのひとつだったので。
テーブル上に3つあるのですが、真ん中は低く、両端は1本だけフトイを高く立てて、目だたせるようにしました。
この仕事で大変だったのは、すべてを2時間ちょっとで終わらせるということ。搬入から完成まで、時間との闘いでした。ランチのお客さまの後に入り、ディナーのお客さまの目に入らないように消える。流木の大きないけこみの後、もう狂ったような勢いで床の間や卓上のものをいけました。
そして翌朝撤去。たった一夜のためだけのいけこみ。なんて贅沢なんでしょう!朝日の中、撤去前の姿です。でも、こうやって消えゆくものだからこそ、いい。いけばなって、そういうものだと思います。
もっと大きな写真で見たい方は、ぜひFB上のアルバムへ。
一夜のみのいけばな
最後まで読んで頂いてありがとうございました!