お花をいけていると、不思議なことに元気をもらいます。ちょっと気分のブルーなときにも、ぼんやり花の香りに包まれていると、背中の荷物が少しずつ降ろされていくような、そんな感覚。もしや小さな妖精がいて、心の引越しを手伝ってくれているのかも!テーブル上のコップに、お花を一輪いけるだけで、大げさではなく、周りが穏やかな空気に包まれます。やはり妖精の仕わざに違いない!最近では、そう信じています。
私が思う「生け花」の素晴らしさは、「自然そのもの」が材料であること。花だけでなく、枝、葉、新芽、木の皮、土、空気まで、つまり自然のすべてがいける対象です。そして、もうひとつの大切な材料が、意外なことに自分。全て同じ材料を使っても、自分の心の状態はその日その日でいろいろ。ひとつとして同じ作品はできません。「生け花」とは、そのときの「自分」とそのときの「花・草・木」が、めぐり合わせで織り成す「一期一会」です。
こんなに楽しい遊びはなかなかやめられません。きっとずっと、息をするように、これからも花をいけ続けていきたいと思います。