無事アメリカでデモンストレーションを終えて帰ってきました。が、なんとも筆を持つのがかったるくて、というか筆ではないので、パソコンを開けるのがめんどうで、なかなかブログの更新ができずにいました。
何度も書くようですが、生徒のみなさん。フェイスブックに登録してみてください。メルアドしかいりませんので。そちらのほうで、随時記事の更新を行っています。もはやアメリカからデモの写真とかをアップしていました。こちらのブログは、縮小傾向にあります。
時代ですね。
アメリカのミネアポリスというところでデモンストレーションを行いました。次女がそこにある大学に入学することになり、その入学式やらもろもろに出席するために訪れたのですが、ただそのためだけに行くのでは飛行機代がもったいない!と、その地域の一番大きなフラワースクールに連絡を取ってみたのがはじまりです。
「ぜひ、いけばなのデモンストレーションをやってよ!」というお誘いを受け、あちらでは、フラワースクールと大学をバタバタとタクシーで往復する毎日でした。
そこは、大きな倉庫のようなビルに卸売市場と資材売り場があり、またお花学校もあるという多角経営の花関係の会社でした。学校の運営責任者で会社の経営者でもあるアディス。彼女が私のデモを企画してくれ、そして、ホームステイまでさせてくれました。
右側の女性です。68歳とは思えぬパワフルぶり。今では私の大切な友だちです。
会場は、卸売り市場の一角をみなで片づけてくれて、急きょデモ会場にしてくれました。来てくれるゲストのみなさんは、市場に出入りしているお花を商売にしている人ばかり。でも、いけばなのことはほとんど知りません。「よし!」と気合が入ります。
1時間半、全部で12作品デモをしてみました。
まず、はじめは「一枝一花」の美について。あちらのフラワーアレンジは、大量の花を使います。でも、少なく使うことで表現できる美もある、ということを話しました。たくさん葉のついた枝をどんどん整理していき、究極1枚の葉を残すと、何が表現できるのか、そんなことをみんなの前で実演しながらデモ。
2作品目のテーマは、「今日からあなたもできるいけばな」 平凡なガラスの花器に、葉を工夫していれ、スペースに遊びをつけることで、簡単にだれでも「いけばな」ができることをデモ。親近感をもってもらいたくて、はじめはあまり難しくない作品、「あ、私もやりたい!」と思ってもらえるような作品にしてみました。
使っている葉は「ハラン」 寿司屋さんで寿司を載せる葉、というと、「おー!」と会場も納得したよう。殺菌作用をもっているんですよ。いけばなではよく使う花材ですが、その表面の光沢感が美しい特徴のある葉です。
3つ目は、スチールグラスの線をいかして。フラワーアレンジの世界では、どうしても脇役の葉を、主役に使うことで、「葉の魅力」をアピールしたくて。普段見慣れている花材だけど、その使い方の違いに、会場からは大きな驚きを頂きました。
アメリカのデモは反応が大きいから好き!こちらもやりながら、のってきます。
4作品目のテーマは「生きている彫刻」 モンステラの葉を使って、オブジェ的なものを作ってみました。こちらはビデオがあります。
5作めは、カスミソウの作品。
カスミソウと黄色いワックスフラワーで大きな花束を作り、上からクレマチスの線をのせ、最後に「ミドリノ」というスティック状のカラフルな棒を左右から差し込んで変化を与えました。
6作目は、紫陽花とアレカヤシの作品。
アレカヤシをいろいろな形に変えて、同じ花材ながら表情の違いを引き出し、最後にサンゴミズキで大きな輪を空中に描くことで、空間に緊張感を生み出します。
7作品目。流木の素朴さを全面に。緑の花のように見えるのは、アンティチョークという野菜です。オレンジ色の花は極楽鳥花。
8作目は赤という色に注目して。
High Bush Cranberry という赤い実をふんだんにいけました。
9作目は幾何学的な不思議な形の花器を意識して、幾何学的な構成を。
緑の線のようなものは、「とくさ」という花材です。
10作目。英語では「Earthy Structure」と言ったのですが、日本語だと、なんというか大地の力を感じるような作品を目指して、というところです。
木でできたような不思議な花器を見つけたので、そこに蔓のドライになったものをスクリュードライバーで固定するところから始めました。
11作目。市場で売られていた古木を利用して。
2メートル以上ある古木。上の枝ぶりのいいところを使うときに下の部分は切って捨てがちですが、あまりに美しい質感なので、切った部分をいろいろ組み合わせて花留め使うといいですよ、みたいな提案をしました。
そしていよいよ12作目。
雲竜柳を留め代わりにして、秋を意識した大きな作品作って、最後としました。
デモが終わるとオークション開始。サイレントオークションといい、それぞれの作品の前に紙が置いてあって、希望購入価格をゲストの方が書き入れていきます。一番の高値を書いた人が最終的に落札する仕組み。
元来いけばなは「場にいけるもの」で、移動するものではないので、こうやってオークションされて、その後各お家に持ち帰られる作品を作る、というのは初めての経験でした。課題山積みでしたが、とてもいい経験をさせてもらいました。
持ち帰りやすい、お家で再現しやすい作品を作ったつもり。オークションすることで、花代や花器代金を回収しよう、というアディスの試みです。そうすることでデモができるなら、みなさんに「いけばな」を知ってもらうことができるなら、私としても喜んで、という気持ちで承諾しました。
みなさんに感謝のご挨拶
デモを企画・運営してくれたアディス
こちらは、当日ずっとアシスタントをしてくださった芳江さん。芳江さんは草月の先生で、この卸売市場にお花を買いに来ていたことから、アディスが声をかけ、お手伝いしてくれることになりました。
アディスはまた市場に来ていたいけばなインターナショナルのミネアポリス支部の支部長にも声をかけてくれ、そちらのみなさんもデモに来てくれました。輪がどんどん広がっていった感じです。芳江さんは、この地でずっと草月の先生をしている素敵な大先輩。3日間ほど、お家にもホームステイさせてもらいました。本当にいろんな方のお世話になっています。
かなり長いブログになってきたので、そろそろこのへんで。
もっと詳しくはフェイスブックに作ったアルバムをぜひ見て頂けるとうれしいです。
ミネアポリス・デモ 写真アルバム
次回は、番外編。デモ以外のミネアポリスの様子を少しレポートできればと思います。